精密板金加工とは?他の板金加工の違いについて徹底解説!
精密板金加工とは
精密板金加工とは、板金加工の中でも「寸法公差が厳しい」とされる板金加工を指します。一般的な建築金物などで用いられる板金加工と比較して、より厳しい公差(寸法許容差)が求められ、仕上がりの美観や次工程である組立への適合性が極めて重視されます。
そもそも板金加工とは、1枚の金属板に対して切断・穴あけ・曲げ・絞り・溶接などの加工を行うことを指します。そして、その中でも「寸法公差が厳しい」というのは、具体的な数値基準が画一的に定まっているわけではありませんが、曲げ寸法公差だと0.1~0.2mm、パンチングによる抜き加工公差では0.05mm以下という高い精度が求められるケースもあります。
このように高い精度が求められる中、精密板金加工では曲げなどの各工程を通して、電気機器や医療機器用の筐体や半導体製造装置の部品といった、複雑な形状を有していたり、精密さが求められたりする製品を製作します。
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精密板金加工以外の板金加工について
板金加工には精密板金加工以外にも、①自動車板金、②建築板金、③プレス板金と呼ばれる加工方法が存在します。
自動車板金とは、自動車のボデーに生じてしまったキズや凹みなどを修理する板金加工のことで、専用道具を使って成形をします。また建築板金とは、住宅や工場の外装を仕上げる施工や工事のことを指します。施工対象が住宅であるのか工場であるのかによって、更に細分化することができます。
そしてプレス板金とは、専用金型を製作して穴あけ加工や曲げ加工などを行い、電気機器や工作機械、半導体製造装置の部品などを製作する加工のことを指します。
プレス板金も精密板金加工と同様に高い精度が求められますが、専用金型を製作してから加工に着手することからロット数千以上になるような量産レベルの案件に向いていると言うことができます。
精密板金加工と他の板金加工との違いとは
当社も手掛ける精密板金加工は、他の板金加工に比べてどのような特長があるのでしょうか。材料・形状・コストの面から見ていきたいと思います。
《材料面における違い》
精密板金加工で扱われる鋼材は、最大でもt3.0mm程度と比較的薄い金属板となります。更にそのような薄い金属板でも、通常の板金加工と精密板金加工では扱う素材においても違いがあります。
通常の板金加工で扱われる素材は主に、SPCCのような圧延鋼板やSECCのようなメッキ鋼板、SUS304をはじめとしたステンレス鋼、そしてアルミ材となります。一方、精密板金加工において扱われる素材はこれらに加えて、銅や真鍮(黄銅)、リン青銅などの伸銅品や、ステンレス鋼の中でもSUS304-CSPのようなバネ材も含まれてきます。
例えばバネ材ですと、一般的な鋼材に比べて弾性限度が高いため外からの力にも強く強度が高いと言える一方で、それと同時にスプリングバックも一般的な鋼材に比べて大きくなるため、曲げ加工の難度も高くなります。しかし、精密板金加工ではそのような鋼材においても高い精度で加工を行うケースも多々あります。
アルミ材への加工のポイントについては別記事で解説しておりますので、こちらもご覧ください。
《形状面における違い》
精密板金加工以外の板金加工、例えば建築板金においては金属板に切断・穴あけ・曲げなど各種加工を施して屋根材などを製作しますが、ほとんどの場合は比較的単純な形状のものとなります。
一方で精密板金加工においては、半導体製造装置用の部品のように小さいものや、医療機器向け筐体のように気密性が求められるものなど、複雑で精密な形状のものを製作するケースが殆どです。このような形状のものを製作するには、切断・穴あけ・曲げだけではなく、タップ加工・ザグリ加工・バリ取り・R面取・絞り加工・カシメ・溶接・ネジ止めなど、建築板金などでは見られないような加工も非常に多く行うことになります。
更に曲げ加工1つとっても、建築板金では見られないような、複雑で精緻な曲げ加工を行うことで複雑で精密な形状のものを製作することができるのです。
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《コスト面における違い》
前の2つでは、精密板金加工を自動車板金や建築板金など一般的な板金加工と比較して述べてきました。この項では精密板金加工とプレス板金を比較して、コスト面でどのような違いがあるのかを述べたいと思います。
プレス板金加工は前述の通り、製品に合わせた専用金型を製作した上で加工に着手します。そのためロット数千以上くらいに数量が多い場合でない限りは、イニシャルコストがどうしても高くなってしまいます。一方で精密板金加工だと、汎用金型または専用冶具を用いて加工を行います。そのためプレス板金に比べるとイニシャルコストを低く抑えることができますので、小~中ロット程度の加工の場合、低コストでの加工・製作が可能になります。
大きな違いとしては上述の通りですが、その他、以下の点でも精密板金加工とその他の板金加工は違うとされています。
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精度の違い(公差範囲) 一般板金では寸法公差が±0.5mm〜1.0mm程度であることが多いのに対し、精密板金では±0.1mm〜0.3mm、箇所によってはそれ以上の高精度が要求されます。この微細な差が、最終製品の組み付け精度や動作安定性に直結します。
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使用する設備の違い 精密板金では、NC(数値制御)化されたタレットパンチプレス(タレパン)や高出力のファイバーレーザー加工機、精密ベンダー(折り曲げ機)を使用します。これにより、デジタルデータに基づいた正確かつ再現性の高い加工が可能となります。
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板厚の傾向 一般板金(製缶)が中厚板(4.5mm以上)を主眼に置き、強固な構造物を作るのに対し、精密板金は3.2mm以下の薄板加工に特化しています。薄板は熱による歪みが生じやすいため、高度な歪み制御技術が求められます。
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溶接・仕上げの品質 精密板金では、溶接後のサンダー仕上げや歪み取りが極めて緻密に行われます。
特に違いとして現れるのが、「筐体」のような箱物の板金加工です。より精度を求められますので、上記のような対応が特に必要です。下記記事で詳しく解説しておりますので、ご確認ください。
精密板金加工の主要な工程と精度の決まり方
精密板金加工において、設計図通りの寸法を実現するためには、各工程における高度な管理と技術的根拠が求められます。単に機械に通すだけではなく、金属の特性を理解した「展開」と、設備のポテンシャルを引き出す「技能」が組み合わさることで、初めて高精度な部品が完成します。ここでは、精密板金の基本フローと、精度を担保するための重要なポイントを詳しく解説いたします。
精密板金の基本フロー
精密板金加工は、大きく分けて以下の4つのステップで進行します。
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設計・展開(3DCADの活用) 精密板金の成否は、この「展開」工程で8割が決まると言っても過言ではありません。3DCADを用いて立体図を平面の展開図に変換する際、材料の厚みや曲げた際に生じる「伸び」を正確に計算(伸び値補正)する必要があります。この計算が狂うと、後の曲げ工程で寸法が合わなくなるため、非常に緻密な設計能力が求められます。
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ブランク加工(抜き工程) 展開されたデータに基づき、タレットパンチプレス(タレパン)やレーザー加工機で外形や穴を抜く工程です。島田工業では最新のファイバーレーザー加工機を導入しており、熱影響を最小限に抑えながら、複雑な形状も高い寸法精度で高速に切り出すことが可能です。
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曲げ加工(ベンダー工程) NC(数値制御)プレスブレーキを使用し、圧力をかけて金属を折り曲げます。精密板金では、曲げ角度のわずかな誤差が最終的な寸法に大きく影響するため、金型の選定や加圧の微調整が不可欠です。
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結合・溶接 スポット溶接、TIG溶接、レーザー溶接などを、材質や強度、外観の要求事項に合わせて使い分けます。薄板の溶接は特に熱歪みが発生しやすいため、熟練の職人による高度な歪み取り技術が不可欠となります。
精度(公差)を担保するためのポイント
精密板金の精度は、設備の性能だけでなく、「材料特性の把握」と「職人の技能」の掛け合わせによって決まります。例えば、同じステンレス鋼であっても、ロットによって硬さやバネの戻り(スプリングバック)の強さが微妙に異なります。
高精度を維持するためには、加工中の抜き打ち検査はもちろん、材料ごとの微妙な特性差を、設備の制御パラメータにリアルタイムでフィードバックする経験値が求められます。島田工業では、これらのノウハウを独自の生産管理システムと熟練の技能士によって共有し、多品種中量生産においても安定した精度(±0.1mm〜)を担保しています。
島田工業が提供する「高付加価値な精密板金加工」
島田工業は、単なる板金加工メーカーではありません。お客様の「作りたい」を形にするため、設計から最終的な各種検査までを網羅する、製造業のパートナーとしての機能を備えています。多くの購買担当者様に選ばれ続ける、当社の4つの強みをご紹介します。
【設計から電気配線・組立まで】一貫対応による管理負担の削減
当社の最大の特徴は、精密板金加工の枠を超え、電気配線、組付、さらには各種検査まで一貫して対応できる体制にあります。 設計段階からのヒアリングに基づき、3DCADを活用した最適な構造提案(VA/VE提案)を行い、そのまま自社工場にて加工・組立・配線まで完結させます。
窓口が一本化されることで、お客様は複数社への発注・納期管理から解放され、管理工数の劇的な削減と、全工程を見据えた「最適なQCD(品質・コスト・納期)」を実現することが可能です。
【高度な検査体制】リークテスト・通電・稼働試験の内製化
精密板金加工品が、実際に製品として機能するかを保証するため、当社では専用の検査ブースを設けています。 一般的な水張り試験はもちろん、エアリーク、加圧・減圧試験、そして高度な技術を要する「ヘリウムリークテスト」まで自社内で完結可能です。
さらに、電気的なソフト面のテスト(通電試験、稼働試験)も内製化しているため、お客様は「動くことが保証された状態」で製品を受け取ることができます。これにより、お客様側の受入検査負担を大幅に減らし、高い品質信頼性を担保します。
【最新設備と自動化】24時間稼働と多品種中量生産への対応力
北関東エリア有数の設備力を誇る当社では、24時間稼働の多品種少量用ロボットベンダーや、高効率なファイバーレーザー加工機を保有しています。
独自の生産管理システムを導入することで、複雑な工程管理をデジタル化し、多品種中量生産におけるコスト抑制と安定供給を両立させています。近年ではタンク関連の生産設備も拡充しており、日々対応可能な製品メニューを広げ続けています。
【特級技能士の技】熟練の職人技と最新技術の融合
最新鋭の自動化設備を使いこなすのは、当社の「人」です。特級工場板金技能士の資格を保有する従業員をはじめ、高度な技能を持つ職人たちが、機械だけでは解決できない微細な調整や、難易度の高い歪み取り、複雑形状の溶接に対応します。
若手への技術承継と最新技術の導入を並行して行う「人づくり」への投資が、島田工業の「高次元なものづくり」を支える根幹となっています。
当社の精密板金加工事例をご紹介!
①業務用食洗器

ちらは業務用食洗器です。お客様から試作開発段階でご相談いただきました。図面は島田工業で作成し、自社工場で板金部品の加工を行い、支給品の接手部品を用いて組立後に納品いたしました。当社ではこのような業務用装置機器の精密板金加工から配線組立まで丸ごと対応しておりますが・・・
②パッケージエアコン 精密板金加工・組立品

この写真の精密板金加工・組立品は、 パッケージエアコン(ビル用マルチエアコン) です。このパッケージエアコンは主にオフィスビルや商業施設等で使われております。
この製品の製造において、精密板金加工 配線組立.comでは、精密板金加工からビス留め、断熱材の貼り付け、データ入力、配線取付、動作確認(耐圧、風量、冷房、暖房、送風)、梱包まで・・・
精密板金加工に関するよくある質問
当社では以下のようなご質問をいただいております。
Q.塩害地域に対応できる筐体はお願いできますでしょうか?
Q.屋外仕様の筐体は可能でしょうか?
Q.板金加工品を塩害地域にて設置・使用することを検討しております。どのような仕様がおすすめでしょうか?
Q.ナットの締め付けにおけるリークの発生を減少させるための手段はありますか?
Q.ネジ止めを伴う板金筐体を設計する際、コストダウンを実現するためのポイントとして、どのようなものがありますか?
Q.筐体加工・組立におけるコストダウン提案は可能ですか?
Q.過去に行った筐体加工の材質や厚みなどはどのようなものがありますか?
Q.医療用精密板金加工品を製作するにあたり、特徴と注意点はどのようなことがありますか?
Q.医療用途の精密板金加工では、どのように素材を選定しますか
Q.医療用途の精密板金加工について、切削加工品と組み合わせた部品の製作は可能でしょうか?
Q.気密性が必要な板金加工品の製作は可能でしょうか?
Q.板金加工で気密性を高めるためにはどのようなポイントがありますか?
Q.板金溶接で気密性を高めたいのですが、どの溶接方法が最適ですか?
精密板金加工のことなら精密板金加工 配線組立.comにおまかせ!
精密板金加工 配線組立.comを運営する島田工業株式会社は、群馬県・伊勢崎市に板金工場・組立工場を持った、温調圧縮・電気装置機器のOEM受託加工・製造メーカーです。
当社は、①鋼板からの板金加工による装置機器の設計・製作と、②装置機器の電気配線・配管接続等の電気制御技術、というソフトとハードの両面に対応した設計・製作を行うことができるOEMメーカーであることが、最も大きな特徴です。また当社は、装置機器の納入に際して、ヘリウムリーク検査や電気検査、100時間に及ぶ試運転などのように、各種試験を徹底的に行った上で高精度ユニット製品の納入をいたします。
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