目次

  1. 精密板金加工とは
  2. 精密板金加工以外の板金加工について
  3. 精密板金加工と他の板金加工との違いとは
    1. 材料面における違い
    2. 形状面における違い
    3. コスト面における違い

精密板金加工とは

精密板金加工とは、板金加工の中でも「寸法公差が厳しい」とされる板金加工を指します。そもそも板金加工とは、1枚の金属板に対して切断・穴あけ・曲げ・絞り・溶接などの加工を行うことを指します。そして、その中でも「寸法公差が厳しい」というのは、具体的な数値基準が画一的に定まっているわけではありませんが、曲げ寸法公差だと0.1~0.2mm、パンチングによる抜き加工公差では0.05mm以下という高い精度が求められるケースもあります。このように高い精度が求められる中、精密板金加工では曲げなどの各工程を通して、電気機器や医療機器用の筐体や半導体製造装置の部品といった、複雑な形状を有していたり、精密さが求められたりする製品を製作します。

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精密板金加工以外の板金加工について

板金加工には精密板金加工以外にも、①自動車板金、②建築板金、③プレス板金と呼ばれる加工方法が存在します。自動車板金とは、自動車のボデーに生じてしまったキズや凹みなどを修理する板金加工のことで、専用道具を使って成形をします。また建築板金とは、住宅や工場の外装を仕上げる施工や工事のことを指します。施工対象が住宅であるのか工場であるのかによって、更に細分化することができます。そしてプレス板金とは、専用金型を製作して穴あけ加工や曲げ加工などを行い、電気機器や工作機械、半導体製造装置の部品などを製作する加工のことを指します。プレス板金も精密板金加工と同様に高い精度が求められますが、専用金型を製作してから加工に着手することからロット数千以上になるような量産レベルの案件に向いていると言うことができます。

精密板金加工と他の板金加工との違いとは

当社も手掛ける精密板金加工は、他の板金加工に比べてどのような特長があるのでしょうか。材料・形状・コストの面から見ていきたいと思います。

《材料面における違い》

精密板金加工で扱われる鋼材は、最大でもt3.0mm程度と比較的薄い金属板となります。更にそのような薄い金属板でも、通常の板金加工と精密板金加工では扱う素材においても違いがあります。通常の板金加工で扱われる素材は主に、SPCCのような圧延鋼板やSECCのようなメッキ鋼板、SUS304をはじめとしたステンレス鋼、そしてアルミ材となります。一方、精密板金加工において扱われる素材はこれらに加えて、銅や真鍮(黄銅)、リン青銅などの伸銅品や、ステンレス鋼の中でもSUS304-CSPのようなバネ材も含まれてきます。例えばバネ材ですと、一般的な鋼材に比べて弾性限度が高いため外からの力にも強く強度が高いと言える一方で、それと同時にスプリングバックも一般的な鋼材に比べて大きくなるため、曲げ加工の難度も高くなります。しかし、精密板金加工ではそのような鋼材においても高い精度で加工を行うケースも多々あります。

《形状面における違い》

精密板金加工以外の板金加工、例えば建築板金においては金属板に切断・穴あけ・曲げなど各種加工を施して屋根材などを製作しますが、ほとんどの場合は比較的単純な形状のものとなります。一方で精密板金加工においては、半導体製造装置用の部品のように小さいものや、医療機器向け筐体のように気密性が求められるものなど、複雑で精密な形状のものを製作するケースが殆どです。このような形状のものを製作するには、切断・穴あけ・曲げだけではなく、タップ加工・ザグリ加工・バリ取り・R面取・絞り加工・カシメ・溶接・ネジ止めなど、建築板金などでは見られないような加工も非常に多く行うことになります。更に曲げ加工1つとっても、建築板金では見られないような、複雑で精緻な曲げ加工を行うことで複雑で精密な形状のものを製作することができるのです。

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《コスト面における違い》

前の2つでは、精密板金加工を自動車板金や建築板金など一般的な板金加工と比較して述べてきました。この項では精密板金加工とプレス板金を比較して、コスト面でどのような違いがあるのかを述べたいと思います。プレス板金加工は前述の通り、製品に合わせた専用金型を製作した上で加工に着手します。そのためロット数千以上くらいに数量が多い場合でない限りは、イニシャルコストがどうしても高くなってしまいます。一方で精密板金加工だと、汎用金型または専用冶具を用いて加工を行います。そのためプレス板金に比べるとイニシャルコストを低く抑えることができますので、小~中ロット程度の加工の場合、低コストでの加工・製作が可能になります。

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